京都の夏を代表する風物詩といえば、1,000年以上の歴史を誇る「祇園祭」。日本三大祭のひとつとして全国に知られ、7月の京都は祭り一色に染まります。その中でも、ひときわ熱気と賑わいを見せるのが「宵山(よいやま)」です。2025年は前祭の宵山が7月14日(月)から16日(水)にかけて開催され、15日(火)・16日(水)には四条通や烏丸通周辺が歩行者天国となり、屋台や夜店が立ち並びます。提灯で幻想的にライトアップされた山鉾が街を彩り、伝統の祇園囃子が夜空に響く光景は、まさに京都の夏のクライマックス。歴史ある町並みと祭りの熱気が融合するこの期間は、観光客はもちろん地元の人々にも愛され続けています。
宵山とは?
祇園祭の「山鉾巡行」は、前祭(さきまつり)が7月17日、後祭(あとまつり)が7月24日に行われます。その直前の数日間に、山鉾が町に建てられ、夜間ににぎわうのが「宵山」です。
- 宵々々山:7月14日(月)
- 宵々山:7月15日(火)
- 宵山 :7月16日(水)

この3日間は各町内で山鉾がライトアップされ、祇園囃子の演奏が行われ、一般公開や厄除けの粽(ちまき)の授与も体験できます。
2025年の宵山スケジュールと歩行者天国情報
2025年は、例年どおり7月15日(火)と16日(水)に歩行者天国が実施される予定です。
日付 | 行事名 | 歩行者天国の実施 | 屋台の出店 |
---|---|---|---|
7月14日(月) | 宵々々山 | × | × |
7月15日(火) | 宵々山 | 16:00~23:00ごろ | ○ |
7月16日(水) | 宵山 | 16:00~23:00ごろ | ○ |
7月17日(木) | 山鉾巡行(前祭) | × | × |
7月21〜23日 | 後祭の宵山 | × | ×(屋台なし) |
宵山の見どころ
1. 山鉾の幻想的なライトアップ
高さ20メートルを超える山鉾が街中に建てられ、日没後には提灯(ちょうちん)の灯りで幻想的に照らされます。その荘厳な姿を間近で見られるのが宵山の醍醐味。多くの山鉾では一般公開されており、内部に入ったり、厄除けの粽(ちまき)を授かったりすることもできます。
2. 祇園囃子(ぎおんばやし)の生演奏
山鉾の上では伝統の祇園囃子が演奏され、笛や太鼓の音色が夜の空に響きます。この音を聞くと「夏が来た」と感じる京都市民も多いほど、風物詩として定着しています。
3. 屋台・夜店の出店(前祭のみ)
四条通や烏丸通周辺には、屋台や夜店もずらりと並び、お祭りらしいにぎわいを見せます。たこ焼き、かき氷、射的など、子どもも大人も楽しめる要素が満載です。
宵山を楽しむポイント
①【おすすめ時間帯】混雑を避けるなら「午後3時〜5時」がおすすめ
宵山のメインは夕方から夜にかけてですが、最も混雑するのは19:00〜21:00ごろ。ゆっくり山鉾を見学したいなら、屋台の準備が始まる午後3時ごろからの訪問がベストです。人出もまだ落ち着いており、写真も撮りやすく快適です。
②【歩行者天国の時間】16:00〜23:00は安心して歩ける
7月15日・16日は四条通や烏丸通などが歩行者天国になり、車を気にせずに歩けます。道路が広く使えるので、お子さま連れでも安心。特に「室町通」「新町通」など細い通りでは、鉾の間をゆったりと歩くことができます。
③【山鉾見学】昼と夜の両方で違った魅力を味わう
山鉾は日中に見ると構造や装飾の細部がよく分かり、歴史や美術に興味がある方におすすめ。一方、夜は提灯が灯され、幻想的な雰囲気に変わります。時間帯による“見え方の違い”を楽しむのも通の楽しみ方です。
④【ちまき購入と鉾の上見学】各鉾町で体験できる
多くの鉾では、厄除けの「ちまき」(食べ物ではなく飾り)を購入できます。鉾によっては、チケット(数百円)を購入すれば鉾の上に登ることも可能。鉾の内部構造や祭りを担う人々の姿に触れられる貴重な体験です。
⑤【祇園囃子】生演奏の音色に耳を傾ける
山鉾の上では、笛・太鼓・鉦(かね)による「祇園囃子(ぎおんばやし)」が奏でられます。この音を聞くと「京都の夏が来た」と感じるほど、風物詩として愛されています。各鉾ごとに少しずつリズムや響きが違うので、聴き比べもおすすめです。
⑥【屋台・グルメ】京都らしい味覚を楽しもう
宵山期間中は多くの屋台が立ち並びます。定番のたこ焼き・焼きそばのほか、「八つ橋アイス、しみだれ豚まん、京だし巻バーガーなどの“京都限定グルメ”」にも注目。夕食がてら楽しめるのも魅力です。
⑦【服装と持ち物】浴衣+快適グッズで涼やかに
浴衣で訪れる人も多く、記念写真にもぴったり。ただし、真夏の京都は湿度が高く蒸し暑いため、以下の持ち物があると安心です:
扇子 or ハンディファン
飲み物(ペットボトル1本は必携)
タオル
絆創膏(下駄やサンダルで靴擦れする人も多いため)
また、夜は足元が暗い場所もあるので、スマホライトや小型の懐中電灯があると安心です。
宵山へのアクセス
手段 | 駅/停留所 | 徒歩時間 | 特徴 |
---|---|---|---|
地下鉄 | 四条(烏丸線) | 約1分 | 最寄り&アクセス良好 |
阪急 | 烏丸駅 | 約1分 | 地下鉄と隣接 |
京阪 | 祇園四条駅 | 約5分 | 東山エリアに便利 |
混雑回避ルート | 五条駅、烏丸御池駅 | 5〜8分 | ゆったり会場入り可 |
市バス | 四条烏丸、高倉 | 徒歩1〜3分 | 複数路線利用可能 |
車・駐車 | 近隣パーキング | ― | 非推奨 |
初心者の方は地下鉄「四条駅」または阪急「烏丸駅」経由が便利ですが、混雑を避けたい場合は「五条駅」・「烏丸御池駅」ルートが特におすすめです。また、帰りのルートを事前に確認しておくと、より快適に宵山を楽しめます。
あとがき
祇園祭の宵山は、山鉾巡行の前夜に広がる幻想と熱気が融合した、まさに“夏の京都”を象徴するイベントですので、多くの人々でにぎわうことが予想されます。
ライトアップされた山鉾の美しさ、囃子の音、夜風に漂うお祭りの香り──この非日常の体験は、きっと一生の思い出になるはずです。ぜひ足を運んで、京都の伝統とにぎわいに包まれる特別な一夜を体感してください。
また、後祭の宵山(7月21日~23日)は屋台の出店はありませんが、山鉾の公開や町会所の展示など、落ち着いた雰囲気で祭りの本質を味わえるのも魅力です。祇園祭宵山は、京都の伝統と夏の活気を存分に体感できる特別なひととき。最新の開催情報は公式サイト等でご確認のうえ、ぜひこの非日常の空間を体験してみてください。
「祇園祭」の公益財団法人祇園祭山鉾連合会の公式サイト→公益財団法人祇園祭山鉾連合会