「選挙に行ってみたい気持ちはあるけれど、正直、仕組みがよく分からない」そんなふうに感じている人は、とても多いです。
ニュースでは「小選挙区」「比例代表」といった言葉が当たり前のように使われます。途中で話についていけなくなってしまう人も少なくありません。
ですが、選挙の仕組みは一つひとつ順番に理解すれば、決して難しいものではありません。子どもに説明できるくらいまで分かれば、自分自身も安心して投票できるようになります。
この記事の目次
衆議院選挙とは、何を決める選挙なのか
衆議院選挙とは、簡単に言えば国の話し合いをする代表を選ぶ選挙です。
日本では、法律を作ったり、税金の使い道を決めたりといった私たちの生活に直結することを「国会」で話し合っています。国会には「衆議院」と「参議院」の2つがあり、どちらも大切な役割を持っています。
その中でも衆議院は、内閣総理大臣の指名や予算の決定など、より多くの権限を持つ院とされています。
私たちは全員が国会に行って話し合うことはできないため、「この人に任せたい」「この考えを国に届けてほしい」そう思う人を代表として選びます。これは、学校でクラス代表を選ぶのとよく似ています。衆議院選挙は、私たちの代わりに声を届ける人を決める場なのです。
なぜ衆議院選挙では2回投票するの?
衆議院選挙では、投票を2回行います。これは、できるだけ多くの人の意見をバランスよく国会に反映させるために考えられた仕組みです。
現在(2026年時点)、衆議院議員は465人。
そのうち
- 289人が小選挙区
- 176人が比例代表
から選ばれています。
※議員定数は、法改正によって変更される場合があります。
1回目は「地域の代表」を選ぶ投票、2回目は「政党(考え方や方針)」を選ぶ投票です。
それぞれ役割が違うため、2つの投票が用意されています。
地域の代表を選ぶ「小選挙区」
小選挙区の投票では、自分が住んでいる地域に立候補している人の中から、「この人に地域の声を任せたい」と思う候補者を1人選びます。
そして、その地域で最も多くの票を集めた人が当選します。この仕組みの特徴は、「この地域の代表はこの人」と、はっきり決まる点にあります。
小選挙区の候補者は、どうやって調べるの?
実際に投票しようとすると、「そもそも誰が立候補しているの?」と疑問に思う人も多いでしょう。
小選挙区の候補者は、次のような方法で調べることができます。
・選挙公報(せんきょこうほう)
・各自治体の選挙管理委員会の公式サイト
・新聞・テレビ・ニュースサイト
・候補者本人の公式サイトやSNS
※ネットで「衆院選 ○○市 選挙区」もしくは「衆院選 ○○市 候補者」などと検索すると、候補者一覧や関連情報を確認しやすくなります。
選挙公報は、候補者の考えや経歴をまとめた公式資料です。自宅に配布される地域も多いですが、配布方法は自治体によって異なります。自治体の公式サイトや公共施設などで確認できる場合もあります。
考え方や方針を選ぶ「比例代表(ブロック制)」
比例代表では、人ではなく政党(考え方のグループ)を選びます。
比例代表は、日本全国を11のブロック(地域)に分け、そのブロックごとに政党の得票数に応じて議席が配分される仕組みです。全国をひとまとめにする「全国比例」ではありません。
この仕組みは、特定の小選挙区では勝てなくても、広い地域で一定の支持を集めている政党の考え方を国会に反映させるために設けられています。
map比例代表では、誰が当選するの?順位はどうやって決まる?
比例代表で政党名を書くと、「その政党の中で、誰が国会に行くの?」と疑問に思うかもしれません。日本の衆議院比例代表は拘束名簿式という仕組みを採用しています。
これは、各政党があらかじめ「この順番で当選する可能性があります」という名簿(順位)を決めておき、得票数に応じて、その順位どおりに当選者が決まる方式です。
この名簿の順位は、政党の公式サイトや選挙公報、新聞・ニュースサイトなどで確認することができます。
小選挙区で負けても当選することがある?(重複立候補)
衆議院選挙では、小選挙区と比例代表の両方に立候補する「重複立候補」という仕組みがあります。そのため、小選挙区では当選できなかった候補者でも、比例代表での得票状況によっては、比例代表から当選する(いわゆる「復活当選」)ことがあります。
ニュースで「小選挙区では落選したのに、なぜ当選しているの?」と感じるのは、この仕組みが理由です。これは、個人の結果だけでなく、政党としてどれだけ支持を集めたかも国会に反映させるために設けられているルールです。
なぜ投票用紙が2枚あるのか
投票所では、2枚の投票用紙を受け取ります。これは、小選挙区と比例代表、それぞれ別の投票を正しく行うためです。小選挙区の用紙には、人の名前を書きます。比例代表の用紙には、政党の名前を書きます。
この2つは別々の投票なので、同じ政党を選んでも、違う選び方をしても問題ありません。
投票当日は、何をすればいいの?
投票当日は、特別な準備は必要ありません。投票所に行けば、係の人が順番に案内してくれます。原則として、投票時に本人確認書類は不要です。入場整理券(投票所入場券)が手元になくても、氏名や住所を伝えれば案内してもらえます。ただし、状況によっては追加で確認される場合もあります。
もし仕事や予定で当日に行けない場合は、期日前投票を利用することもできます。制度は全国共通ですが、投票できる場所や受付時間は自治体によって異なります。なお、期日前投票も投票所入場券がなくても利用できます。
記入する際は、読みやすい字で書けば十分ですし、字が少しくらい崩れていても問題ありません。書き間違えた場合でも、投票箱に入れる前に係の人に声をかければ対応してもらえます。
なぜ、仕組みを知ったうえで投票することが大切なのか
投票は、ただの手続きではありません。自分の考えを社会に伝える行動です。候補者や政党をどうやって調べるのか、どんな仕組みで結果が決まるのかを知っていれば、「なんとなく」ではなく、自分の言葉で理由を持って選ぶことができます。
子供にも説明できるということは、それだけ自分の中で理解が整理されているということ。それは、有権者としてとても大切な状態です。
まとめ
衆議院選挙は、特別な知識を持った人だけのものではありません。
・地域の代表を選ぶ「小選挙区」
・全国比例ではなく、地域ごとに議席が決まる「比例代表(ブロック制)」
・小選挙区と比例代表の両方に立候補する「重複立候補」がある
・候補者や政党は、公式な情報で調べられる
この仕組みが分かれば、安心して、自分の判断で投票できます。
おすすめ本

























もし誰かに「選挙ってなに?」「どうして落ちた人が当選することがあるの?」などと聞かれたとき、今日知ったことを自分の言葉で伝えられれば十分です。
理解することは、参加することの第一歩。その一歩を踏み出せているあなたは、もう立派な有権者です。