満月の夜、ふだんは明るく輝く月がゆっくりと暗くなり、やがて赤黒い色へと変わることがあります。これが皆既月食です。
ニュースでは「赤い月」や「ブラッドムーン」と呼ばれることもありますが、単に色が変わる不思議な現象というわけではありません。実際には、太陽・地球・月の位置関係によって起こる、とても美しい天体の並びが関係しています。
仕組みを知っておくと、子どもに説明するときにも役立ちます。ポイントは次の2つです。
- 月が消えているわけではない
- 赤く見える理由は地球の大気にある
ここでは、皆既月食の仕組みを天体の動きから順番に整理してみましょう。
この記事の目次
月食は「地球の影」に月が入る現象
まず大前提として、月食は地球の影が月にかかる現象です。
月は自分で光っているわけではなく、太陽の光を反射して明るく見えています。つまり、宇宙では次のような関係になっています。
■ 太陽 → 光を出す
■ 月 → 太陽の光を反射する
■ 地球 → その途中に影を作る
皆既月食が起こるとき、宇宙では次のような並びになります。
太陽 → 地球 → 月
地球の後ろにできる影の中に月が入り込むことで、月に届く太陽光が遮られ、月が暗くなっていくのです。ただし、この「影」は2種類あります。
地球の影には「本影」と「半影」がある
地球が作る影は1つではありません。影は大きく分けると次の2つです。
本影(ほんえい)
太陽の光が完全に遮られる、濃い影
半影(はんえい)
太陽の光が一部だけ届く、薄い影
月食の3つの種類
半影月食
月が半影だけに入る状態
部分月食
月の一部が本影に入る状態
皆既月食
月全体が本影の中に入る状態
このように、月が地球の影にどの程度入るかによって月食の種類が決まります。

皆既月食で月が赤くなる理由
皆既月食の最大の特徴は、月が赤い色に見えることです。これは月そのものが赤く光っているわけではありません。ポイントとなるのは地球の大気です。
太陽光が地球の周りを通るとき、大気によって光が散乱します。このとき、青い光は散らばりやすく、赤い光は遠くまで届きやすい性質があります。この現象は、夕焼けが赤く見える理由と同じです。夕焼けでは、太陽の光が長い距離の大気を通るため、
青い光は散乱して消える
赤い光だけが遠くまで届く
という状態になります。皆既月食のときも、これとよく似たことが起きています。
地球の大気をかすめた太陽光が屈折し、地球の影の中に入り込みます。その光は赤い成分が中心なので、影の中にある月をほんのり赤く照らします。言い換えると、「地球の夕焼けの光が、月まで届いている」とも説明できますね。
それでも月食は毎月起きない理由
満月は約1か月に1回あります。実は、月食は満月のときにしか起こりません。
それなら、月食も毎月起きそうに思えるかもしれませんが、実際には、月食が起こるのはそれほど頻繁ではありません。皆既月食となると、世界でも年に0〜2回ほどで、日本で見られる機会は数年に一度程度になることもあります。
理由は、月の軌道が少し傾いているからです。
月は地球の周りを回っていますが、その軌道は地球が太陽の周りを回る平面に対して、約5度ほど傾いています。そのため満月のときでも多くの場合、
月は地球の影の少し上
または影の少し下
を通り過ぎてしまいます。地球の影にぴったり入るタイミングは、実はそれほど多くないのですね。
皆既月食は「ゆっくり進む天体ショー」
皆既月食は、日食と比べてとてもゆっくり進む現象です。大まかな流れは次のようになります。
半影に入る(半影月食)
月の端が欠け始める(部分月食)
月全体が影に入る(皆既月食)
再び部分月食へ
元の満月に戻る
この一連の変化は、3〜4時間ほど続くこともあります。そのため、日食のように「一瞬で終わる」ものではなく、夜空を見上げながらゆっくり観察できる天体イベントなんです。
次の皆既月食はいつ?
皆既月食は毎年見られる現象ではありませんが、数年の間には観測のチャンスがあります。
日本で次に観測できる皆既月食は、2029年1月1日ごろと予測されています。この月食は、2028年12月31日の夜から2029年1月1日未明にかけて起こるため、資料によって日付の表記が異なることがあるかもしれません。
まとめ:皆既月食を一言で説明するなら
皆既月食の仕組みを雑学として整理すると、次のようになります。
皆既月食とは、地球の影に月が入り、その中を通った夕焼け色の光によって月が赤く見える現象で、押さえておきたいポイントはこの3つです。
- 月食は「地球の影」が月にかかる現象
- 皆既月食は月が地球の本影に完全に入る状態
- 月が赤く見えるのは地球の大気を通った赤い光が届くため
空を見上げて月が赤く染まっているのに気づいたら、それは太陽・地球・月が宇宙の中で一直線に並んでいる証拠でもあります。
月食は特別な機材がなくても、肉眼でゆっくり楽しめる天文現象です。次に赤い月が見られる夜には、ぜひ空を見上げてみてくださいね。


























月食にはいくつかの種類があります。月が地球の影にどの程度入るかによって、「半影月食」「部分月食」「皆既月食」の3つに分けられます。
このうち、月全体が地球の本影に入る状態を「皆既月食」と呼びます。