「高い所って太陽に近いのに、なんで寒いの?」子どもにこう聞かれて答えに迷った経験はありませんか?一見もっともらしいこの疑問、実はとても科学的な気づきが隠れています。
この記事では、「高い場所ほど寒くなる理由」について、子どもに答えられるようやさしく解説します。子どもに伝える前に、大人がしっかり理解しておくためのガイドとしてご活用ください。
太陽との「距離」の違いはほとんどない
「高いところは太陽に近いから暑いはず」という気持ちは自然ですが、実際には山の上に登っても太陽までの距離はほとんど変わりません。
地球から太陽までの距離は約1億5000万キロメートル。例えば、世界一高いエベレスト(約8,848メートル)に登っても、地上から見ればほんのわずかしか縮まりません。太陽に数キロ近づいたくらいでは気温には全く影響がないのです。
空気が薄いと熱をためこみにくい
高いところに行くと、空気がどんどん薄くなります。地上では空気がたっぷりあるので、太陽の光でまず地面が温まり、その熱が空気を伝って広がっていきます。空気もある程度、熱をためこむ力があるので温まりやすいのです。
でも、標高が高くなると空気が薄くなり、熱がすぐ逃げてしまいやすくなります。まるで、分厚い布団なら暖かく感じるのに、薄いタオルケットではすぐに冷えてしまうようなものです。
さらに高いところでは、足元にある地面からの熱も届きにくくなり、周囲の空気もなかなか温まりません。だから、高いところほど寒さを感じやすくなるのです。
気圧が低くなると空気が広がって冷える
さらに大きな理由は「気圧の違い」です。高い場所では、上から押しつける空気の重さ(=気圧)が低くなります。すると空気は押しつけられなくなり自由に膨張しようとします。
このとき、空気は自分の中にある熱エネルギーを使ってふくらむため、温度が下がります。この現象は「断熱膨張(だんねつぼうちょう)」と呼ばれます。
完全に同じではありませんが、イメージしやすい例として「風船」を使って説明するのもよいでしょう。風船をふくらませると、勢いよく広がる空気が一時的に冷たく感じることがあります。これは空気が急に広がることで熱を使い、一時的に温度が下がる点で、断熱膨張と似た仕組みが働いているからです。
ただし、風船の場合はゴムの伸び縮みや外の空気との熱のやり取りもあるため、厳密には断熱膨張とは異なる点もあります。ですので「ちょっと似ているイメージ」として紹介するのが適切です。
子どもに説明するときには
と伝えてみてはどうでしょうか。
具体的な数字でイメージしよう
一般に「標高が100m上がるごとに気温は約0.6℃下がる」と言われています。例えば、標高差が1,000mあれば6℃くらい気温が下がり、3,000mの富士山頂なら地上より約18℃も寒くなります。この数値は日による変動もありますが「高いところはこれくらい寒くなる」という目安としてとてもわかりやすい数字です。
まとめ
もし子どもから「太陽に近いのに、どうして寒いの?」と聞かれたら、以下のポイントを整理して伝えるとよいでしょう。
- 太陽までの距離はほとんど変わらない
- 山の上は空気が薄くて熱がたまりにくい
- 気圧が低くなると空気が広がって冷える
- 100メートル登るごとに約0.6℃下がる
このように説明すると、子どもにもイメージしやすくなります。自然の不思議を一緒に考え、学ぶきっかけになればいいですね。






















空気って、ぎゅうっと押さえてる力が弱くなると膨らもうとするんだよ。膨らむときに自分の中にある熱を使うから冷たくなるんだ。高いところでは、空気が押されなくなって膨らむから寒くなるんだ。