夏から秋にかけて、日本では台風のニュースをよく耳にします。強い雨や風をもたらす台風ですが、「どうしてできるの?」と子供に聞かれると、大人でも説明がむずかしいもの。この記事では、台風の仕組みを科学的に正しく整理しながら、子供に伝えやすい表現も交えて解説します。
台風の正体は「熱帯低気圧」
台風は「北西太平洋や南シナ海で発生し、最大風速が17.2m/s以上になった熱帯低気圧」のことを指します。
※ここでいう「最大風速」とは、10分間平均の風速で測定されたものです。
つまり、台風は「特別な嵐」ではなく、熱帯の海で育った強力な低気圧なのです。
台風の材料は「あたたかい海」
台風のエネルギー源は、海から蒸発する水蒸気です。
目安として、海面水温が26.5℃以上になると台風が発達しやすいとされています(便宜的に「27℃以上」と説明されることも多い)。
- 太陽に温められた海 → 水蒸気が大量に発生
- 上空で冷やされて水滴や氷の粒になり雲をつくる
- そのとき「潜熱(せんねつ)」が放出され、周囲の空気をさらに温める
- 温められた空気は上にのぼり、強い上昇気流が生まれる
このサイクルが繰り返されることで、低気圧はどんどん発達していきます。
台風が渦を巻く理由
中心に空気が集まるだけでは、ただの低気圧です。
台風が渦を巻くのは、地球の自転による「コリオリの力」のため。

子供には「地球が回っているから、空気もつられてぐるぐる回る」と説明するとイメージしやすいのではないでしょうか。
コリオリの力とは?
コリオリの力は、地球が自転しているために物体の動きが曲がって見える「見かけの力」です。実際には空気や水がまっすぐ流れようとしても、地球が回っているせいで進む方向がずれてしまうのです。
■ 北半球 → 右に曲がる
■ 南半球 → 左に曲がる
この仕組みがあるからこそ、台風は大きな渦を巻いて回転します。
台風の「目」ができる仕組み
発達した台風の中心には「目」と呼ばれる静かな領域ができます。
- 周囲では激しい上昇気流 → 雲が発達し雨や風が強まる
- 中心部は極端に気圧が低い → 上空から空気が沈み込み雲がなくなる
そのため、台風の目は「まわりは嵐なのに中心だけ晴れている」という不思議な現象になります。

子供には「ぐるぐる回る風が外に逃げて、まんなかがぽっかりすき間になる」とたとえてもよいですが、その後で「実際には空気が上から下に流れ込んでいるから、雲ができないんだ」と補足すると子供の理解も深まるのではないでしょうか。
台風が強くなる条件
台風が発達するには、いくつかの条件があります。
- 海面水温が26.5℃以上と高い
- 水蒸気が十分に供給される
- 上空と地上の風の差が小さい(=風のシアが少ない)
逆に、台風が弱まるのは次のようなときです。
- 海面水温が下がる
- 陸地に上陸して水蒸気の供給が絶たれる
- 上空と下層の風向・風速の差が大きい(ウィンドシアが強い)ため、台風の形が崩れる
子供に説明するときのヒント
大人が理解した上で、子供に説明するときには次のようなたとえ話が役立ちます。
- お風呂の湯気:「海のあたたかさで湯気(水蒸気)が出る」
- 掃除機:「空気や水蒸気をぐんぐん吸い上げる力」
- 排水口の渦:「地球が回っているから、空気が渦を巻く」
- 台風の目:「まんなかは静かだけど、まわりは嵐」
まとめ
台風は「あたたかい海」と「水蒸気の供給」、そして「地球の自転」という自然の仕組みから生まれます。大人が正しく理解しておけば、子供にはお風呂や渦巻きなど身近なたとえを使って、やさしく説明できます。
さらに、台風の成り立ちを知ることは単なる知識ではなく「防災意識」を高めることにもつながります。子供と一緒に台風の仕組みを考えることは、自然の不思議を学びつつ、災害に備える大切なきっかけになるでしょう。




























子供には「海がとてもあたたまると、水蒸気(湯気)がたくさん出て、それが台風のごはんになる」と説明するのはどうでしょうか。